shashasha 写々者

アメリカ人フォトグラファー、マーク・シュタインメッツ（Mark Steinmetz）の作品集。2025年2月から4月にかけて、シカゴの写真専門ギャラリー「ステファン・デイター・ギャラリー（Stephen Daiter Gallery）」で開催される展覧会に伴い刊行された。

1988年から1991年の間に撮影された本シリーズは、シカゴという街そのものと、撮影された時代の肖像を我々に示す作品である。作者とシカゴとの間には、その芸術活動が辿ってきた旅路において発展をもたらしてきた重要な関係性がある。作者は主に南部との関わりが深いが、シカゴは長きにわたり、制作に向けた探究心へインスピレーションを与えてきた都市である。シカゴが持つ独特な地域性、建築、エネルギーは、作者の創作にとって豊かな被写体となり、街の静かな瞬間や住民たちの親しみある表情を作者は捉えることができた。本作は、この街を独特な視点で表現しており、作者が現在も続けている、より広いアメリカの風景と交わす「対話」の中の重要な一章である。

本書の冒頭には、1991年から2011年まで「ニューヨーク近代美術館（MoMA）」写真部門のチーフ・キュレーターを務めたピーター・ガラシ（Peter Galassi）によるエッセイを収録。マット紙にデュオトーンで美しく印刷され、茶色のリネン布で装丁され仕上げられている。