Here and There Vol. 1 - Vol.13. 5
『here and there』は、資生堂の企業文化誌『花椿』の元編集者・林央子が2002年に創刊したオルタナティブマガジン。創刊以来、ファッション、アート、カルチャーを独自の編集アプローチで融合させ、「自分の時間、友人、出来事のなかで記録する価値のあるものを記録する」というDIY精神を持ち、従来の雑誌の固定化されたモデルとは一線を画し世界中で根強い人気を博している。
林は、スーザン・チャンチオロ、パスカル・ガテン、マーク・ボスウィック、前田征紀、ホンマタカシ、アン・ダムス、マイク・ミルズ、ミランダ・ジュライ、キム・ゴードン、エレン・フライス、ドミニク・ゴンザレス=フォースター、BLESS、コズミックワンダー、島袋道浩、小金沢健人や、創刊号からアートディレクターを務めている服部一成など、様々な分野において個性的な活動を続けるクリエイター陣を初期の段階から『here and there』の執筆、写真、デザインに招き入れて制作を続けてきた。
そのスタイルは、詩的で内省的で、本当の感情や人生の瞬間を会話や手紙の形で記録し、人々の間の微妙な感情や深い感情を探求するもの。『here and there』は現在15号まで発行されている。
この新しいコレクション出版プロジェクトは、2012年にNievesから出版されたコレクション『here and there 1 - 10』の拡張版であり、11号から13.5号までの内容を追加。本書の出版を記念して、林は多くの長年の友人たちにメッセージや思い出を共同執筆してもらい、同時に、1号から13.5号までデザイナーを務めた服部一成もこの本の新しい表紙と裏表紙を作成した。全ての表紙と裏表紙は、1点ずつシルクスクリーン3色プリントでの制作となっている。
900ページ弱にも及ぶこのコレクション本は、林央子の20年以上にわたるhere and thereの制作活動を通して語られてきたファッションやアート、そして社会の移り変わりを辿ることができる貴重な一冊となっている。
また「ルールを理解した上で意図的に破る」という服部一成のデザイン哲学が生き生きと表現されており、脈々と受け継がれるグラフィックデザインの美学を感じることができるだろう。
林央子(はやし・なかこ)
1966年生まれ。編集者、ライター、キュレーター、リサーチャー。資生堂『花椿』の編集に携わったのち、2001年にフリーランスになり、2002年に『here and there』を創刊。1996年「Baby Generation」展や201414年「拡張するファッション」展のように、出版物企画に端を発した展覧会の創出に携わってきた。著書に『拡張するファッション』(2011)『つくる理由』(2020)『わたしと『花椿』(2023)ほか。2023年より、ロンドン芸術大学のロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(PhD candidate/Fashion Journalism)に在籍。リサーチタイトルは「Living, Thinking and Creating Together: Becoming through here and there, an Alternative Magazine」。
― ディストリビューター説明文より
- 判型
- 297 × 210 × 50 mm
- 頁数
- 880頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2025
- エディション
- 500