CASE Tokyo & CASE Rotterdam

今週オープニングを迎える二つのギャラリースペースCASE TOKYOとCASE ROTTERDAMをご紹介します。

日本を拠点とする出版社Case Publishing(荒木経惟「去年の写真」、尾﨑ゆり「88」、大橋英児「Roadside Lights」、他)が芸術としての写真集を広めるためのギャラリースペースをオープンします。CASEは写真を出版する人のためのギャラリーとしてセミナー、ワークショップ、シンポジウムやトークショーなど写真関連のイベントを開催し、写真のローカルカルチャーを支えていきます。
CASEはこれからヨーロッパ、アメリカやアジアへと広がっていきます。


CASE TOKYOは荒木経惟の新刊「愛の劇場」で幕を開けます。本展では「愛の劇場」全作を収録した作品集の刊行と合わせ、オリジナルプリント全作品を展示します。

本作品は、荒木が電通勤務時代の65年前後に撮影したキャビネ判作品100点あまりによって構成され、2011年2月にタカ・イシイギャラリーでの展覧会で発表されました。

〈愛の劇場〉と書いてあるキャビネ判の箱が出てきた。
開けてみると150枚ほどのプリントが入っていた。
65年頃のプリントだ。その頃オリンパスペンFでガチャガチャ撮って、わざと熱現像とかイイカゲンにフィルム現像してイイカゲンにプリントしてた、その頃の私と女と時代と場所が写っている、表現しちゃってる。あの頃から〈愛の劇場〉とか言ってたんだねえ。まーそれにしても、イイねえ、イイ写真だねえ、デジタルじゃこうはいかねえだろ。
― 荒木経惟

CASE TOKYO
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイビスビルB1

オープニング展:荒木経惟「愛の劇場」
期間:2017年9月30日(土) - 11月12日(日)

レセプションパーティー:9月30日(土) 18:00-20:00


CASE ROTTERDAMのオープニングではChan Dick(チャン・ディック)の新刊「Chai Wan Fire Station」を特集します。本作はアジア以外ではCASE ROTTERDAMが初めての展示となります。Chan Dickは香港をベースにする写真家です。彼が国際的に評価されるきっかけとなったのが、本書に収録された「Chai Wan Fire Station」でした。

ある日オフィスで仕事をしているときに、チャイワン消防局を俯瞰した光景をバスルームから見つけました。その光景は想像していた以上にたくさんのことが起こる眺めでした。トレーニング以外にも、消防士たちはバレーボールをしたり、消防車を洗車したり、学校の郊外学習をしたりと、全てのことがひとつの小さな場所で行われていたのです。

彼が覗き見る窓から遠く下に見える小さな世界で は、消防士たちが日常生活を営んでいます。その一方でチャンが魅せられた遥か上空からの撮影は、 日常を逸したミニマルで美しい鳥瞰図を映し出しました。本作品は、Hong Kong Photo Book Awards(2015)、Tokyo International Foto Awards(2016)を受賞し、アジアを中心に注目される作品となっています。

また、「荒木経惟:愛の劇場」 発売に先駆け、本書の先行販売も予定しています。

CASE ROTTERDAM
Katendrechtse Lagedijk 489A (Rotterdam, Netherlands)

Opening exhibition
Chan Dick “Chai Wan Fire Station”
September 29 - November 19

Closing party
November 4, 18:00-20:00