Õ(オン)

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Õ(オン)

井上奨之

出版社:自費出版

パリを拠点に活動をするフォトグラファー井上奨之の初の写真集。
井上がパリで出会った1人の老紳士とともに過ごした日々を、モノクローム写真で切り取った本書。見るものに普遍的で慕わしい記憶を呼び起こさせる1冊となっている。タイトル名の「Õ(オン)」とは、フランス語の発声記号が由来。作品に流れる掴みどころは無いが、連続して保たれている通奏低音を表している。

冒頭には、本書のためにシンガーソングライター・米山ミサ(浮BUOY)書き下ろしの詩も掲載。適度な緊張感を保ちながらも、柔らかで手に馴染む造本でこれらを編み上げ、温かく内包する一冊となっている。

― 出版社説明文より

写真群はパリのギャラリーでアルバイトをしていたときに出逢った1人の男性をベースにしています。彼の生きるリズムや人生観に心地良さを感じて毎日顔を合わせるたびに写真を撮りはじめていました。天気の話をして、コーヒーを飲んで、散歩して、タバコを吸って、コーヒーを飲んで、天気の話をして。シワが何重にもついたレザージャケットに、指の先端は墨黒く、ものが小さく見える大きい手、屈託のない笑顔。いつしか私は彼を自分の亡くなった遠い記憶の中いる祖父と重ねて見ていたのかもしれません。そこで私は異国の彼の人生をなぞり、私と彼、祖父と私、1つ1つの関係を丁寧に掬い上げようと努めました。私はロックダウンや先の見えないフランスでの暮らしに少し疲弊していたのかもしれません。そんな中、彼と2人でたくさん立ち止まって見る景色は、どこか懐かしく永遠に続くかの様に緩やかで、この上なく人生の美しいときだったと思います。
また、当初自身の詩を共に掲載しようとしていましたが、あまりにも作品との距離が近くなってしまうと感じたため、シンガーソングライターで友人である米山ミサ(浮 BOUY)に詩を依頼しまして、書き上げてもらいました。第三者視点でこの本の物語を綴った詩は冒頭に置かれ、本書に流れる空気を一本の線で美しくまとめ上げてくれました。
本の装丁にも本の歴史に恥じぬよう、作者なりの想いを巡らせていますので、沢山の方に手に取ってもらえると幸いです。最後にこの本が誰かの人生に少しでも顔を覗かせることが出来たならこの上ない喜びであり、見知らぬ優しい繋がりと同じ景色を共有出来る事に感謝いたします。

― 井上奨之

キーワード: パリ

29.79

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判型
228 × 170 mm
頁数
80頁
製本
ソフトカバー
発行年
2021
言語
英語、日本語

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