浅草2011-2016

浅草2011-2016

初沢克利

出版社:春風社

「浅草にはほかにない自由がある」と感じ通い続けた初沢克利にとって、写真を撮ることは浅草という土地と人との結びつきを感じ、そこに宿る地霊を探るような営みだったのではないだろうか。
2011年から16年の5年間という、近年に撮影された写真でありながら、目まぐるしく移り変わる街の様相というよりも、人々に具わるある種の性格、原型というべきものが、街に暮らす人たちや、浅草を訪れる多種多様な人たちの姿の中に映し出されている。初沢は頻繁に路上で街頭芸に見入る大勢の観客たちを、ワンフレームで収めている。赤ん坊や若いカップル、高齢者、車椅子に乗ったひとたちなど、性別や年齢も多種多様なひとたちが偶さか同じ場所に居合わせた場面であるにもかかわらず、どこか集合写真のような一体感が醸し出されているは、浅草という土地の力によるものなのかもしれない。浅草の路上は通過するためだけではなく、そこに立ち止まり、しゃがみ、時には酒を飲み交わし、眠り、生活することも許容されてきた空間である。このことが、浅草を現在もほかの街にはない地霊を感じさせる場所たらしめているのであろう。500ページ以上にも及ぶ大部の写真集には浅草の今の表層だけではなく、見えない時間の層が深くたくしこまれているようだ。

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判型
238 x 180 mm
頁数
520頁
製本
ソフトカバー
発行年
2017
ISBN
9784861105470

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