I need someone

I need someone

小林健司

出版社:リブロアルテ

新作、表紙4種類

“I need someone”は、この作品のタイトルであるとともに、私の写真活動のスタンスを象徴する言葉でもあります。

カメラを手にしてからずっと、人物を撮影し続けてきました。身近な友人から初対面の人まで、色々な人物を撮影していく中で、いつしか「被写体と真っ直ぐに向き合いたい」という気持ちがどんどん大きくなり、被写体の方々のご自宅にお伺いして撮影をするようになりました。

人見知りで、人付き合いが苦手な私にとっては、「人物を撮る」という行為そのものが、「他者と繋がる」ための手段であり、「孤独を埋め合わす」ための手段でもありました。孤独や寂しさを紛らわすために「誰か」を求めて、繋がり、寄り添っていたい、そんな感覚を共有できる同世代の仲間たちを被写体に選んできました。

タイトルの“I need someone”とは、すなわち“I need(to be in a mind of)someone”、誰かの心の中に存在していたい、と願う私たちがいる、ということです。人は、究極的には誰もが孤独な存在なのだと私は思います。どんなに幸せな人でも、どんなに満ち足りた境遇の人でも、心の片隅に、常に「孤独」を抱えながら生きている。それでも、誰かの心の中に自分が存在している、と感じることができれば、孤独を忘れることができる。“I need someone”という作品は、私にとっても、被写体の方々にとっても、“他者の心の中に存在している自分自身”を確認するための作業なのだと思います。その結果として生み出された写真は、2010年代の日本に生きる私たちが、同じ場所・同じ時間・同じ感覚を共有した証であり、私たちの絆そのものです。

真っ直ぐにこちらを見る被写体の視線の先には、私がいるとともに、私の作品を見る皆さんがいます。被写体の心の中に自分がいて、自分の心の中に被写体がいる、そんな感覚を、皆さんにも共有していただければ幸いです。

高度経済成長終焉後の日本に生まれ、バブルの恩恵に与ることもなく、受験戦争や就職氷河期に直面した私たちの世代。生きづらい時代に生まれたと思います。少子高齢社会の到来、リーマン・ショック、格差と貧困、相次ぐ天災、テロ、そして、日本を戦前へと回帰させるかのような不穏な政権運営・・・先行きの見えない不安と、息が詰まるような閉塞感に押し潰されそうになりながら生き抜く日々。

それでも、誰かと繋がりたくて、光を見出したくて、「かたちあるもの」を残したくて、

これからも私は、同じ時代を生きる大切な仲間たちの写真を撮り続ける。
それが、私の写真家としての使命です。

私の写真が、誰かの「光」となることを願って。

— 小林健司

判型
250 x 188 mm
頁数
128頁
製本
ハードカバー
発行日
2017
言語
日本語、英語
ISBN
978-4-8021-3065-3

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