自然の鉛筆

世界最初の写真集、トルボット『自然の鉛筆』。待望の完全日本語版。

写真術の発明者のひとり、ウィリアム・ヘンリー・フォックス・トルボットが著した『自然の鉛筆』(1844~1846年)は、世界最初の写真集と位置づけられています。本書は、写真術の発見に至るまでの経緯やその重要性をトルボット自ら記した文章と、写真図版一枚一枚に添えられた撮影にまつわる文章の、初の完全日本語訳となります。
『自然の鉛筆』の24枚の写真図版はすべて、元トルボット・ミュージアム館長のマイケル・グレイ氏の監修によるものです。氏は、可能な限りトルボットのオリジナルの紙ネガを元の素材として印刷用データを作成してきました。その貴重なデータにより、かつてない精緻なディテールと豊かな階調をそなえた原寸大の図版で、当時のプリントの状態が鮮やかに蘇ります。あわせて「自然・写真・芸術----『自然の鉛筆』考」と題し、『自然の鉛筆』を巡る写真家、美術家、研究者によるエッセイと、トルボット自身の重要な言葉を収載。「写真史」の域を超える本書の現代的意義と未知の魅力を照らし出します。

「自然・写真・芸術----『自然の鉛筆』考」目次

畠山直哉  自然と鉛筆----レイコックの日々
マイケル・グレイ  光の言葉----「自然の鉛筆」をめぐって
青山勝  トルボットの生涯と『自然の鉛筆』
ヘンリー・F・トルボット  『リテラリー・ガゼット』誌編集長宛の手紙3通
金井直  写真と彫刻 あるいは互恵性
ジュゼッペ・ペノーネ  <写真>をめぐる3つの断章
畠山直哉  団栗と写真

「その製法を知らない人は、もしこれらのうちに手で描かれたものが何一つないと言われれば、〈アラジンの魔法のランプ〉をいつでも自在に使えるかのように想像するに違いありません。実際のところ、〔写真術とは〕そのようなものだと言ってしまってもほとんど差し支えないのかもしれません。それは、ほんのわずかですが、魔法が実現されたものなのです----自然の魔法(ナチュラル・マジック)が。
〔......〕その制作の迅速さと完成度には、何か非常に驚異に満ちた(ワンダフル)ところがあります。しかしよくよく考えてみれば、自然とは、私たちの理解力を超えた大いなる驚異の原野(フィールド・オヴ・ワンダーズ)でないとしたら、いったい何でありましょう?  〔......〕私は、一つの〈技術〉を完成したなどと申し上げるつもりはありません。私はただその端緒を開いたにすぎないのです。その限界がどこにあるのか、現時点で正確に述べることはできません。」

(トルボット『リテラリー・ガゼット』誌編集長宛の手紙三通 より)

―  出版社説明文より

キーワード: 写真史

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