Zen Foto Gallery Book Review

禅フォトギャラリーは、2009年9月にマーク・ピアソンによって設立された、アジア諸国の写真を専門的に紹介するギャラリーです。展覧会の開催のみならず、写真集の出版を活発に行っており、刺激的な写真作品を継続して提示しています。今年で記念すべき10周年を迎える禅フォトギャラリーがこれまでに刊行した出版物を再俯瞰する、ブックレヴューページを特設しました。(レヴューは随時更新され、掲載タイトルが増える予定です。)


oh my little girl』陳偉江

受け入れること。受け入れられること。
写真の中だけで成り立つマジカルなロマンが詰まった陳偉江の“oh my little girl”
これまでに陳偉江は極私的に彼が対する人物との関係を発表してきたが今作ではある一定のポップな距離を持って制作されている。
彼と彼女との関係にしか写りえない軽妙さとひとさじの反逆。
自己受容を一点の矛盾もなく黙諾される幸福。
それは男のそれ、すなわちロマンなのではないだろうか。
ロマンの前で女神に黙諾される
溢れる言葉は
oh my little girl…….

― Jeong Imhyang


新宿迷子』梁丞佑

新宿歌舞伎町。
その街は欲望という結界を纏っているかのような街である。
足を踏み入れた途端どこからか聞こえてくる御霊の呻く声。
”なしえなかった”人々の浄化されぬ魂が未だその街をさまよっている。
その街は欲する者には赤子に添い寝する母のごとく擁する。
欲になしえなかった者達には厳格なる父のごとく背を向ける。
梁はその街に1998年から2006年の間余すことなく目と目を合わせている。
今作の中に出てくる”若者心得”のごとく。
彼の目は今は亡き御霊ではなく今ある生に獰猛に執拗にそして慈悲を持って向かっている。
彼は人間の欲する先をその街に見てしまったのだろう。
見てしまった以上街が変貌しようとも後戻りは出来ない。
彼の写真を見た者は彼のその街を見続ける尋常ではない覚悟と尊さを目撃する。

― Jeong Imhyang