鈴木清(1943年-2000年)は、常磐炭鉱があった福島県好間村(現いわき市)に生まれました。定時制高校を卒業後、漫画家を目指して上京しますが、土門拳の『筑豊のこどもたち』の影響で写真家になることを志し、1969年まで東京綜合写真専門学校で学びます。翌年、故郷の炭鉱などを撮影した「シリーズ・炭鉱の町」(『カメラ毎日』連載)でデビューし、1972年には最初の作品集『流れの歌』を自費出版で刊行、以後看板描きを生業としながら写真家としての活動を続けます。1976年に『ブラーマンの光』、1982年に『天幕の街』(第33回日本写真協会新人賞受賞)、1994年に『修羅の圏』(1995年、第14回土門拳賞受賞)、1998年に『デュラスの領土』などの写真集を刊行、ほぼすべての写真集は写真家みずからが制作した自費出版でした。装丁までも手がけたその独自で自由な写真集作りからは、いずれも愛読書の一節をインスピレーションの手掛かりに世界観を拡げ、「書物」を愛し、それに生涯を捧げた写真家の姿を知ることができます。

年表

1943 11月30日 福島県石城郡好間村(現在のいわき市)に生まれる
1965 福島県立平第二高等学校(定時制、普通科)を卒業、漫画家を志し上京
1969 東京綜合写真専門学校卒業 同年から翌年にかけ『カメラ毎日』に「シリーズ・炭鉱の町」を発表(全6回)、写真家としてデビュー。以降、看板描きを生業とし、写真家活動を展開
1972 写真集『流れの歌』刊行
1976 写真集『ブラーマンの光』刊行
1982 写真集『天幕の街』刊行
1983 第33回日本写真協会賞新人賞受賞(写真集『天幕の街』に対して)
1985 東京綜合写真専門学校の講師に就任1988写真集『夢の走り』刊行
1989 第1回写真の会賞受賞(写真集『夢の走り』に対して)
1991 写真集『愚者の船』刊行(アイピーシー刊。自費出版ではない唯一の写真集)
1992 写真集『天地戯場』刊行 第17回伊奈信男賞受賞(個展「母の溟」に対して)
1994 写真集『修羅の圏』刊行
1995 第14回土門拳賞受賞(写真集『修羅の圏』に対して)
1997 手摺りリトグラフによるポートフォリオ『INDIA SONG』刊行(制作: WORKS・H)1998写真集『デュラスの領土』刊行
2000 3月23日 病気により死去

鈴木清の書籍