Night Procession

Signed

Night Procession

スティーブン・ギル

出版社:便利堂

カラーコロタイププリント8枚セット/木箱入り

2014年3月、わたしは家族とともに、ロンドン西部からパートナーのレナが生まれ育ったスウェーデン南部に引っ越しました。この新しい環境がわたしの制作にかなり影響を与え、しかも、自然がとても重要な役割を果たすことになるだろうということに気づきました。わたしは現代の写真の技術に制限されたり、息詰まりを感じたりしない作品を生み出すことを楽しみながら、自分もその一部である自然の景色について、まちがった印象を与えないものようなものを作りたいと考えました。

わたしはよく散歩に出かけたのですが、すぐにこの新しく荒涼と平坦に拓けた景観が、実は様々な生き物に溢れていることに気がついたのです。また、昼の間に少しばかりの手がかりを見つけると、夜の動物の活動をより理解することもできました。例えば、一箇所に集まった羽毛や道に重なり合うように残された色々なサイズの動物の足跡、噛み切られた枝、卵の殻、アリの巣、少しかじられたキノコ、動き回るカタツムリ、前夜の餌食になった肉に張り付くナメクジなどです。

サバイバルしなければならないという本能によって、森の漆黒の中を動き回る動物のことを想像し、彼らがお互いに遭遇する様子はどんなだっただろうかと考えました。また、夜が更け彼らの視覚が必要でなくなるや、今度は嗅覚と聴覚を整え、研ぎ澄ますのだろうと想像したりもしました。

そんな彼らの行動がどういった場所で展開されるかを自分なりに想定し、モーションセンサーを搭載したカメラを木々の低い場所に設置し、もしなんらかの動きがあればカメラのシャッターと赤外線フラッシュ(動物には見えない可視スペクトル)が同時に作動するようにしたのです。

そして、初めて得られた結果はわたしを魅了しました。なぜなら現世界とパラレルに起こっている別世界に踏み入れたような感覚を覚えたからです。それら静寂の写真はまるで音を創り出しているようにも思えました。ブリストルにある実家の浴室の窓辺に座り、カメラに取り付けた10メートルほどのコードを使って、庭に来る鳥を撮影していた13歳の自分のようで、初めて写真に取り組んでいた頃のことを思い出させてくれたのです。

もし鹿だったらどこで水を飲むだろうか、フクロウであれば木のどの辺りの枝に停まるだろうか… 時間を経るごとに考え、そういった場所にカメラを設置したりもしました。そこに夜行性の動物がいなくても、まるで彼らがそこにいるものと想定して心の目で長方形の写真の風景を作りあげるようになりました。最終的なプリントを作るときには撮影した森から採取した植物の樹液を用い、写真の色とイメージそのものを決定するのに役立てました。

わたしはこれまでアーティストとしての主張を控えめに、被写体そのもので作品を作り、偶然性を作品に取り込むという風に、色々な方法を長年にわたり試みてきました。例えば2005年にカラープリントを撮った場所の近くにその写真を埋め、しばらくしてそれを掘り起こすことで、そこに埋もれた場所の痕跡を自然とのコラボレーションとして写真に残すという試みをしました。2009年から2013年に制作した「Talking to Ants(蟻たちとの対話)」というシリーズでは、カメラの内部に撮影していた場所から採取した植物や昆虫、種子、埃などを入れて、それらと一緒に風景写真を撮ることで、植物や昆虫のサイズを混同させるように見せました。また、2012年の「Best Before End(最後の前の最高)」では、高エネルギー飲料の人気に対する写真的な取り組みとして、その飲み物を混ぜた液でフィルムを現像しました。こういった 制作過程では、どういった画像が現れるのかまったく予測できないばかりか、不確実の要素は、時に被写体の役割を果たしたり、導いてくれたり、そのまま画像の一部として組み込まれることもありました。

今回のシリーズ「Night Procession(夜の行進)」ではあえてその現場から離れ、まさにその撮られた瞬間わたしは眠っているのですが、その間も森の被写体たちはオーケストラのための作曲をしたり、演者のような役割を担っていたというわけです。今回のシリーズをとおして、自然そのものが自ら語ってくれることを、我々の方が認知し感じとる必要があるのではないだろうかと問いかけています。

プリントサイズ:410 x 500 mm

コロタイプとは
一般的な印刷方法であるオフセット印刷では色や濃淡を小さな網点の密度で表現しますが、コロタイプでは連続階調で表現するため、写真のようにより本物に近い緻密なディテールで表現することができます。

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発行年
2018
エディション
12

スティーブン・ギルによる出版物