幸運の町

幸運の町

大島 洋

出版社:写真公園林

古本、レア

大島洋は1944年岩手県生まれ。写真評論誌「写真装置」を1980年に創刊、著書に『写真幻論』『アジェのパリ』などがあるが、写真家として初個展を開催したのは1960年代。表現者であり批評家でもある大島の処女写真集が1987年に刊行された本書『幸運の町』である。写し取られているのは東北地方で、自身の故郷である岩手県盛岡から始まり、花巻、遠野から三陸海岸地域へ及ぶ。最も古いものは1956年に撮影されており、著者が10代の頃にすでにカメラを手にしていたことが分かる。「幸運の町」「三閉伊」「春と修羅」と題された三つの章から成るが、”それでいてそのひとくさりづつが、ひとつになった写真”としておさまっている。これらの写真群が自伝的な郷愁物語にとどまらないのは、江戸時代に百姓一揆があった三閉伊(実際にはない地名。詳細は著者あとがき「春光呪詛」を参照していただきたい)をめぐるこだわりや、幼少から身近であった宮沢賢治への思索など、著者の内的動機によるものだろうか。2015年には、東日本大震災後の三閉伊をカラーで撮影した作品群を展示発表している。