shashasha 写々者

フェン・リは、中国のみならず、世界中を旅して撮影をしてきた。コロナ禍で中国国外に行けない2021年5月には、中国本土で初のレジデンスプログラムに参加し、撮影をしてきた。本書はその中国・阿那亚（北京から300キロ程離れた海に面した街、以下アナヤ）における滞在制作の記録でもある。

滞在していた終盤には、アナヤでデジタル音楽フェスティバルや演劇祭が重なり、フェン・リにとって格別に刺激的な3週間を過ごした。ほとんどの場所で、激しく、繊細な創作活動を続ける彼の姿を見ることができたのだ。まるで狂喜乱舞しているようだったとフェン・リは語った。レジデンスを終えて間もなく、400枚以上の写真が出版社L. Library Projectに送られた。それらの写真は、わずか3週間で撮影されたとは思えないほどの強いものだった。写真から伝わってくる強度や密度は非常に高いものだったのだ。その後、70枚以上の写真を選び、ウェブサイトに公開されたがフェン・リの気持ちや写真の強さを伝えるには十分とは言えなかった。これらの写真をまとめたのが本書となる。

フェン・リの強さそのままに、本書も大きく分厚く重い１冊に仕上がっており、文字通り重量級の写真集である。