Barricade

Barricade

北井一夫

出版社:Harper's Books

1968年は全学連の政治性が強い学生運動ではなく、大学民主化を要求する一般学生中心の組織全共斗(全学共斗会議)による大学バリケード封鎖のストライキ斗争が日本各地の大学で起り、アメリカ、ヨーロッパ各地でもベトナム戦争反対を叫ぶ学生斗争が激しくなった。

政治組織から離れて、自由で自分のためだけの写真を撮るために、学生がバリケード封鎖した日本大学芸術学部校舎内で、ストライキ学生たちと4ヵ月ともに寝泊まりして写真撮った。

一週間また一週間とストライキが長引くにしたがって、バリケード封鎖の大学校舎内は、ストライキ学生たちの衣食住の場所になり、非日常の空間から日常生活空間へ変化し始めた。

壁にぶら下げた衣服と傘、ハンガー。歯磨に歯ブラシとタオル。外部との交信可能な公衆電話機。床壁天井何処にも書きなぐった跡の落書き。機動隊など外部からの攻撃にそなえて、窓辺に積み上げた戦斗態勢完了の石ころと角材。床に散乱したアジビラと靴や手袋など日用雑貨が散乱している。

いつだったかキューバ革命の写真集を見ていて、チェ・ゲバラの服の胸ポケットに歯ブラシがのぞいているのを見つけた。革命最中の彼等も顔を洗って歯をみがくのだ。そういう日常生活がちゃんとあるのだと、当たり前のことだが、恰(あたか)も大発見したように感動したのを、日に日に日常化するバリケードの中で思い出した。

それから、バリケードの中でストライキ学生たちが使う生活日用品の写真を撮ることにした。写真は全部半切サイズ(14x17インチ)にプリントした。しかし一点も売ることはなかった。それでも「抵抗」以来久しぶりに自分のためだけに自由にプリントすることを楽しめて満足だった。

「バリケード」を中平卓馬に見せると、これは凄いと言ってほめてくれた。その時中平が編集担当していた「美術手帖」写真特集号への掲載を約束してくれた。

もう一度写真集を作りたかったが「抵抗」自費出版の借金65万円がそのまま残っていたこと、学生運動と政治から離れたいことと、普通の人の生活や地に足をつけて労働する人たちの写真を撮りたい気持ちになっていた。

北井一夫、本書より抜粋

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